耳鼻咽喉科ほりクリニック

普通牛乳・乳製品の大きな課題

 当院では、従来、乳幼児を中心に、牛乳乳製品を制限することで副鼻腔炎や中耳炎の改善する例を多く経験してきました。これは、単にアレルギーの関与にとどまらない多面的な視点からの指導です。
最近、ようやく、大田区でも本格的に普通牛乳の栄養学的問題点に注目が集まっています。
高野英昭先生(大森医師会・高野医院)を中心に学校給食に低脂肪、無脂肪牛乳を取り入れる要望が出され、さらに、大森・蒲田・田園調布医師会が中心となって、学校給食における牛乳の大きな予防医学的問題点に関する基礎研究が始まるところです。
結論は、関係者には明白です。米国では2011年1月から、英国では2006年から、学校給食での普通牛乳の提供を禁止しています。
日本でも普通牛乳の禁止は急務です。
また、デンマークでは、普通牛乳に脂肪税を課税しています。こうした背景を考えれば、保育園や乳幼児における普通牛乳の摂取が恐ろしいほどに大きな問題であることは十分理解されます。
動物性脂肪、飽和脂肪酸は、多様な炎症反応を誘導するので、副鼻腔炎、中耳炎において関与することは容易に想像できることと考えます。
以上の点に関しまして、保育園関係者のご配慮をお願いいたします。
従来より、当院の患者さんのうち、副鼻腔炎、中耳炎の遷延例や重症例などを中心に“牛乳”の摂取を休むなどの指導をお願いしてきました。その際に、保育園の方より、アレルギー指示書を提出するよう、たびたび指導を受けてまいりました。
しかし、本来、医師の医学的判断によって、出される指示に関し、医師が保育園より指導を受けるというのは、本来の姿ではないと考えています。
すなわち、当院が医学的判断によって、高脂肪、高タンパク、アレルギ促進的な牛乳摂取によって、鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎が悪化する可能性を医学的に判断し、保育園に対して、園児の健康に良かれと判断して、協力をお願いするのは、当然の務めであると考えております。
今日、中耳炎の危険因子の一つは、集団保育の環境です。多くの就学前園児は、比較的早期に多くの菌と戦うことになります。このために、かえって、保育園児は、医師から抗生物質の投与を受けやすくなり、結果として耐性菌が多くなってしまうのです。集団環境でこうした菌が互いに伝播感染されます。
そして、多くの抗生物質に対して耐性をもち効果の出にくい多剤耐性菌の比率は、中耳炎の原因菌の一つ、肺炎球菌では、日本では、60~70%です。
一方、抗生剤の投与を制限してきたオランダでは、同じ多剤耐性菌の比率はなんとたった3%です。
こうした現状を知るにつけ、少しでも乳幼児の副鼻腔炎や中耳炎の回復に役立つライフスタイル、食習慣を心がける必要があります。せめて低脂肪、あるいは無脂肪牛乳を中心とされること。当院のような医学的指示に関しまして、可能な限りのご理解とご協力をお願いすいる次第です。
なお、当院では、小児の副鼻腔炎や中耳炎をはじめとした感染症は、一義的には、小児の発達過程において、免疫能を獲得していくための必要なプロセスと理解しています。
また、抗生剤身に頼るだけではなく、食生活の改善などライフスタイルの問題点も考慮して治療していくことがたいへん重要であると考えています。こうした視点に立つ時、特に地域近隣の保育園などとの協力と相互理解が大変重要です。
是非とも、こうした点にご理解いただけますよう、心よりお願い申し上げます。