新型コロナ後遺症外来

新型コロナ後遺症外来について

今日までの当院における経験と実績から当院では、耳鼻科領域にとどまらず、冷え性、自律神経失調症、低血圧症、気象病、慢性疲労、心身症(耳管開放症、耳鳴症、めまい、咽頭異常感症)、検査では異常なしと言われる様々な不定愁訴に対して、保険診療を中心としつつ、自由診療をまじえながら、各人各様の患者さんのご要望に応じて実績をあげてきました。
コロナ後遺症の治療においても、当院の診療指針に沿って、あくまで、患者さんの希望と治癒力を尊重しつつ、心と体両面のサポートを進めていきます。

コロナ後遺症とは

発生頻度

発病から3か月後、登録された成人COVID患者の約10〜65%が持続的な症状を報告しています。小児期には、はるかに少ないです。

リスクの高いグループ

ストレス障害、倦怠感、うつ病、不安障害、肥満などの既往歴ある人は、はるかに頻繁に、より重度の影響を受けます。
すなわち、後遺症は、コロナ感染により突然発症したというより、もともと後遺症に至る素因があったとも考えられます。皮肉なことに本格的なスポーツ選手もより影響を受けているようです。

症状、病態および診断

  • 疲労感/倦怠感/全身の脱力感持続的な状態から、一時的に繰り返し自覚する場合など、様々です
  • 息切れ/呼吸困難、特に労作時(肺機能検査の異常の有無にかかわらず)胸部の締め付け感、および胸痛など。発作を繰り返す場合も多い。
  • 甲状腺機能の変化に伴う動機や疲労感もあります。
  • 頭痛、特に運動の最中や運動後など。
  • 痛み 筋肉痛、関節痛、特定の部位に限らず、体の様々な場所に移動することもあります。
  • 認知機能の障害。集中力や記憶力の低下など。頭のボーとした感じ、専門的に「脳の霧(brain fog)状態」などと言われます。
  • 不安や情緒の不安定は、特定の方法で上記のすべての障害を伴う可能性があります。

子供の主な症状では、倦怠感、睡眠障害、味覚および嗅覚障害、頭痛などが目立ちます。

一般的な長期神経障害

  • 睡眠障害。寝入りが悪くなる、途中で目が覚める、朝目覚めにくい、目覚めても疲れが残る。
  • 耳鼻科の領域では、めまい、味覚および嗅覚の障害。また、消耗状態を背景に、耳管開放症の症状が出現することもあります。耳閉感、自声協調(自分の声が耳に響く)、周囲の音が不快に響くなどの多様な症状を自覚します。
  • 多発神経障害、血管内皮炎および凝固障害による虚血/脳卒中、自己炎症性脱髄、脳炎が含まれます。中枢神経系は末梢の神経系よりも影響を受けているようです。

一般的な精神的および心理的障害

記憶障害、集中力の低下、現実感の喪失(脳の霧(brain fog))、ストレス対処能力の低下、不安およびうつ病、心的外傷後ストレス症状(PTSD)、強迫性障害が含まれます。
強迫性障害、様々な苦痛感および生活の質の低下。影響を受けた人の10〜15%が向精神薬を服用し、10%が自殺念慮を持っています。

A:保険診療  診療ステップ

01

検査

心理検査(不安やうつレベルの評価)ホームページの事前問診で受診前に可能
自律神経機能検査・抹消血流検査(約3分間の脈の検査)
採血(甲状腺機能、鉄欠乏など)さらなる精査(必要と判断した場合、連携している東京蒲田病院にてCT検査など精査を依頼する場合もあります)

02

治療 外的ケア―

簡易カウンセリング
症状や病態に応じて生活指導
漢方処方
*上咽頭処置(希望者)
上咽頭処置とは、鼻の奥の上咽頭に塩化亜鉛という薬品を塗布する治療法です。痛みを伴いますが、コロナ後遺症に対して有効だという指摘があります。

03

セルフケア―

マインドフルネス瞑想、自律訓練法、運動指導(インターバル速歩、ストレッチ、自律神経体操)、ヨーガ指導、呼吸法、瞑想、耳介のツボマッサージ、指ぬき・手首・足首・首の柔軟体操。全身の皮膚マッサージ刺激、様々な呼吸法、食養生など。

当院の治療指針と希望と回復への道のり

人間は、一人一人、ユニークな存在です。したがって、治療も、画一的では十分ではありません。受動的な治療(外的ケアー)のみならず、主体的で自律的な取り組み(セルフケア)もとても重要です。

01

冷えの改善と暖かさの回復(からだの新陳代謝における熱の産生や制御に関連するシステムの活性化)

実際、冷え性という病態は、コロナ後遺症の治療において需要なヒントとなります。しかし、本人は、あまり冷えの自覚の場合がないことも多いです。こうした場合でも、回復の過程で、ようやく冷えを自覚します。「コロナの病態の本質は冷えである」。このように言っても過言ではありません。生き生きとした生命力、新陳代謝の働きを活性化し取り戻すことは、大変重要です。健全な状態では、体の暖かさをはっきりと実感できます。この点、当院で指導している耳介マッサージ、指ぬき・手足の柔軟体操・全身の皮膚マッサージは、効果の高いセルフケア―です。末梢の循環を改善し、自律神経をバランス化します。また、温泉がとても有効だった患者さんもいます。(アルカリの硫黄温泉のほうが、酸性の温泉より有効だったといいます)。回復の過程で、一時的に発熱することもあります。背部の腎臓のある部位へのショウガシップは、簡単で、呼吸にも安定効果があります。

02

呼吸と自律神経の安定化

コロナ感染において、まず呼吸器官としての肺や気道(鼻、副鼻腔、咽頭、喉頭など)が主なターゲッットとなります。呼吸が自律神経を介して心・感情と密接に関連していることは、誰もが自覚している事実です。こうした視点から見ると、例えば、息苦しさは、単なる身体症状に留まらない事がわかります。実際、コロナ後遺症において、不安感や恐怖感などはとても多くみられます。安定した呼吸と心身の調和を取り戻すことが、回復のカギとなります。長期に継続する呼吸障害などを克服するうえで、感情面への、外的ケアー、内的ケアーはとても重要です。当院では、定期的に心理検査や自律神経機能検査などを実施し、客観的な評価をふまえ、治療を進めていきます。経過中、カウンセリングは、大切な選択肢の一つです。セルフケア―としては、瞑想やヨーガなどは、セルフケア―の主軸となります。沈静化効果のあるカモミールティー。朝のローズマリーの足湯は、新陳代謝を活性化します。また、夕方、夜間のラベンダーバスミルク(Weleda社)は、深い睡眠への助けになります。

03

水分と血液循環の改善

疲労感やだるさ、重さを克服するために、簡単な運動習慣やストレッチでも効果があります。また、鍼灸治療やアロマセラピーもとても有効です。エッセンシャルオイルの局所マッサージや、足湯は、セルフケア―として簡単に実施出来ます。全身のアロマセラピーでも、Solum oil(Wala社)は、多くに実績があります。当院で提供する様々な療法(自由診療のページ参照)も、他の療法同様、睡眠を深くし、治癒を促進します。苦み成分含んだ食品の摂取(菜の花、フキ、ウド、セロリ、パセリ、ハーブ類)は、消化を促進し、新陳代謝を活性化します。食習慣の見直しも重要です。新鮮で、安全(無農薬、低農薬など)食品の選択。添加物の少ない食品の選択。食物繊維、発酵食品を多くとる。小麦食品(グルテン)は、頻度と両が少ないことを推奨します。良質の脂質、オメガスリーの豊富なアマニオイルはすすめです。潜在的な鉄欠乏(一般的な検査では不十分で、必ず、フェリチンという貯蔵鉄の検査は必須です。ビタミンやプロテイン欠乏がある場合、補完的に摂取することも必要です。

04

組織の再生

個別に選択される漢方薬の処方は、自然治癒力の活性化にとても有効です。回復過程と症状や病状に応じた選択が大切となります。マインドフルネス瞑想(呼吸への集中、慈悲のめい想)、自律訓練法、ヨーガ、呼吸法などは、自律神経・免疫系を安定化し自己治癒力を促進します。自由診療では、アントロポゾフィー医学に基づいて、様々な植物・鉱物製剤が処方されます。

05

セルフケア―実施上の注意点

回復過程おいて、各人の状態の変化を注意深く見極め評価していくことが重要です。特に運動などは、一時的に症状を悪化させることがあります。時に、マッサージや様々なセラピーの施術後に症状が一時的に悪化を体験する場合もあります。医師やセラピストによる継続的で慎重な観察と評価が大切です。

06

こころとからだの一体感・幸福感を取り戻す

「生きる意欲や生きがい」を取り戻すための試みが重要となります。これには、一人一人、ユニークな個性が関係します。どんな事が自身を元気にするのか、何が元気を奪うのか、それまでの人生の振り返り、見直し、洗い直しが必要となります。マインドフルネス瞑想、自律訓練法、ヨーガ、呼吸法などは、体と心のバランスを取り戻すうえでとても効果があります。芸術の力を借りることは、とても重要です。自身で、粘土あそびに取り組むことや、気持ちを色や形で表現することも助けになります(油絵より、パステルや水彩絵の具の使用が推奨されます。固く冷たくなり、みずみずしさを失った心を溶かしてくれます)。外的ケアーとしてのアロマセラピーやアートセラピー(絵画造形療法)も推奨されます(自由診療)。森の中を探索する森林療法、植物や動物、自然との触れ合いは、治療的に作用します。詩の朗読や、絵本の世界に身を置くことも、心の暖かさを取り戻すきっかけとなります。

07

希望の回復

コロナ後遺症に打ちひしがれた状態から、将来への希望を取り戻すまで、各人各様の歩みがあります。この間には、専門家、家族、友人など、周囲からの継続的で暖かいサポートもとても重要です。そして何より、単なる病気の経験から、自身の新たなる成長へと歩みを始めることで、新たな人生へのスタートラインへと到達できることでしょう。回復過程は、直線的には進みません。行きつ戻りつというのが、通常です。一喜一憂せずに、じっくり取り組む心づもりが大切です。回復に従って、職場復帰など、具体的な手順についても、相談やアドバイスが必要になります。

本原稿の基本とした参考資料

アントロポゾフィー医学の観点からのLONG-COVID(コロナ後遺症)症状と治療オプション(医療専門家のための国際専門家委員会の勧告より)、要約とほりクリニック改訂版を紹介します。
*全文は、こちらのリンクをご覧ください

注:アントロポゾフィー医学とは、ルドルフ・シュタイナーとイタ・ベーグマン医師らにより生まれた医療のシステムです。西洋医学を基本にしながら、心と体にやさしい医学です。

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