耳の治療

耳の症状について

耳は外耳(耳介と外耳道)、中耳腔である中耳(鼓膜・耳少骨・耳管)、内耳(蝸牛・前庭・三半規管)から構成され、音を聞いたり体のバランスを保ったりなどの役割を担っています。耳の病気の多くは、外耳や中耳で起こります。特に細菌による炎症が原因で、耳の痛みやかゆみなどの症状が現れるのです。

また、内耳の場合は、めまいやメニエール病などが考えられます。扁桃腺の炎症が耳の痛みと関係しているケースもあるため、検査で症状を分析したうえで適切な治療を受けることが大切です。

耳が痛くなる病気

耳が痛い場合は「急性中耳炎」「耳管炎」」「滲出性中耳炎の急性の悪化」が疑われます。
時に、急性耳下腺炎、急性扁桃炎、耳管開放症、帯状疱疹などでも耳痛として訴える場合があります。

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外耳(道)炎

耳の入口のトンネルである外耳道に生じる炎症です。日ごろから耳かきを頻回にする癖や、習慣を待っている方が多く、耳かきなどで掻きこわして、そこから菌が侵入し感染して生じます。耳を圧迫すると痛みが強まります。

◆治療法

多くの場合、抗生剤による治療が必要です。繊細な耳の皮膚には、できるだけ触らないことが第一です。当院では、耳垢は医療機関でとることを勧めており、 かゆい時だけステロイドの軟膏を塗布することを推奨しています。外耳道の皮膚は薄く弱いです。極力いじらないようにしましょう。

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急性中耳炎

中耳は、耳管を通じて鼻腔や咽頭につながっています。感冒では、ウィルス感染で生じた炎症が、耳管を介し鼻腔から中耳へと進展します。耳管炎に伴って進行すると、中耳内に炎症がおき、 中耳内圧が高まり鼓膜や耳小骨の炎症で痛みを自覚します。さらに進行すると、中耳圧で鼓膜の一部に穿孔が生じて耳漏を生じます。この時点で、急に痛みが軽減します。細菌感染へと発展する場合も多くありますが、同様の経緯です。特に小児では、ほとんどが自然に治癒していきます。なお、回復期になると、一時的に耳管開放症になり、耳閉感、自分の声が響いて不快に聞こえるなどの症状が続くこともあります。

◆治療法

当院では、抗生剤の投与は慎重に判断します。また、鼓膜切開も必要性を十分検討したうえで、限られた例に行っています。様々な工夫で鼓膜チューブ置換術(鼓膜に切開を入れ小さなチューブを留置する方法)は 避けられることが多いです。特に繰り返す例では、食養アドバイスや、鼻すすり癖をなくし、鼻のかみ方指導も重視しています。鼻のかみ方を上手になるだけで、改善する例も少なくないのです。また、鼻うがいを併用することで改善が助けられます。

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滲出中耳炎(しんしゅつちゅうじえん)

子供が何となく、声掛けに反応しない。声が大きいなどで気づかれることも多いです。急に悪化して耳が痛くなって発見されることもあります。多くの場合、急性中耳炎の治癒遷延で生じます。副鼻腔炎が長期継続して、鼻すすり癖のある場合に生じることも多いです。

◆治療法

一般には、抗生剤の長期投与、頻回の切開、チューブ挿入術、抗生剤の少量持続投与が行われます。当院では、できれば、こうした治療をできる限り回避したいと考えています。それでも、やむをえない選択肢として必要な場合があります。従って、顕微鏡による鼓膜所見の慎重な観察のもとで、漢方、食養指導など、また体質改善を目指し、自宅での通気治療(オトベント)で改善することも多いです。これも、総合戦略が重要と考えています。

耳がかゆくなる病気

普段から耳がかゆくてつらい場合は「外耳湿疹」が疑われます。
ある時期にだけかゆくなる場合、アレルギー性の反応のひとつが考えられます。
また、普段から耳かき癖のある方に多くみられます。

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外耳湿疹

外耳湿疹(外耳道湿疹)とは、耳の穴から鼓膜にかけての外耳道の炎症が原因で、湿疹ができてしまう病気です。原因は主に、外耳道に付着する耳垢の掃除のしすぎや、化粧品の刺激などといわれております。耳のかゆみが気になっていじり過ぎると、皮膚の一部がはがれて炎症を起こし、細菌感染に悪化する恐れもあります。

◆治療法

消毒液(オキシフル)で消毒後に、ステロイドの軟膏を塗っていただきます。アレルギーが原因と疑われる場合は、アレルギーを調べてその治療をすることも大切です。外耳道の皮膚は、とても薄く敏感です。皮膚をいじればいじるほど皮膚を痛め、慢性の湿疹状態になってしまいます。大切なことは、耳の皮膚を触らないようにすることです。また甘いものを食べる習慣も、痒みの悪化要因になります。慢性の治りにくい湿疹の原因には全身的なものもあります。冷え性や自律神経失調症、不眠症などがある場合は、ライフスタイルの改善も必要です。

耳鳴り・聞こえに関する病気

高齢者の方で、次第に聞こえにくくなってきた場合は、老人性難聴が疑われます。
成人では、急に聞こえにくくなった、または聞こえなくなった場合は 「耳垢塞栓」「突発性難聴などの急性難聴」「低音障害性感音難聴」
「蝸牛型メニエール病」 見落とされやすい疾患として「耳管開放症」などが考えられます。
小学校低学年では、心因性難聴(ストレスなどで聞こえにくくなる)が考えられ、 乳幼児では滲出性中耳炎が多いです。

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突発性難聴

急に起こる難聴や耳鳴りで発症します。めまいを伴うことも多いです。1日も速く治療を開始することが、何より重要です。

◆治療法

治療の中心は、ステロイドホルモン剤の内服です。ただし、背景に肩こりや慢性疲労などの全身的背景を持つ例も多く、 当院では、鍼灸を併用する場合もあります。
発症の背景に慢性疲労などに加えて、食事や睡眠などの関連も重要だと考えています。疲労時に、消化に負担のかかる食事をとることが影響している可能性があり、 こうした点から、ライフスタイル全般への配慮が必要と考えています。また、慢性的なストレスにより自律神経が障害されている場合もおおいです。当院での内服・通院で改善が不良の場合には、他院(牧田病院耳鼻科)を紹介し、高圧酸素療法の併用や、点滴ステロイド治療を開始して頂きます。

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老人性難聴

高齢者に特有の高音部の聴力障害が多いですが、その障害のパターンも多彩です。加齢による変化は、高音部に始まります。従ってテレビの音が聞こえにくく、音量が高くなり、周囲の人にうるさがられます。聞き返しも多くなります。特に高度な一部の例では、障害認定がおりることで補聴器購入の支援が出ます。ただし、一番安価な耳かけ型が中心となります。通常は当院の補聴器外来で、相談、貸し出しの手順を経て購入となります。さらに、その後の訓練とフォローが大変重要です。また、耳閉感や自分の声が響いたり、補聴器が不快な場合、耳管開放症が併発している場合もあります。

診断の為の主な検査

標準純音聴力検査 1,050円(税込)
標準語音聴力検査(ことばの聞き取り検査) 1,050円(税込)
自律神経機能検査(抹消血流検査) 無料
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急性低音障害型感音難聴

急性の感音性難聴をきたす点は類似していますが、突発性難聴とは、区別されています。耳閉感や聴覚過敏を伴うこともあり、耳管開放症との鑑別がむずかしい場合もあります。低音域に限局した、軽度から中等度の難聴が見られます。耳管開放症と同様にストレスと関連があります。

◆治療法

イソソルビドが投与されます。ステロイドを投与する場合もあります。当院では、自律神経機能検査を行ったうえで、瞑想などの指導も併用します。

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耳鳴り

耳鳴ほど、原因が多様で奥の深い病気はありません。そして、耳鳴は、耳管開放症と同様に、心と体を一体に“人間丸ごとを考慮して”診療を進める必要があります。耳鳴のほとんどは、難聴を認めない無難聴性耳鳴です。しかし、ごくまれに、疾患が潜んでいる場合もあります。特に、片耳の難聴を伴う場合、悪化していく耳鳴りなどは、正確な診断のもと治療を進めていく必要があります。基本的には、耳鳴があることが問題なのではなく、耳鳴が苦痛で仕方がない、という苦痛の程度が強い場合に治療の対象となります。

◆治療法

耳鳴の原因には、大きく分けて3種類あります。内耳や耳からくるもの、脳神経系からくるもの。自律神経失調や更年期障害などの関連で自覚されるものなどです。それぞれの場合に応じて個別的に検査や治療を進めていきます。

耳がつまる病気

耳がつまる場合は「耳垢栓塞」「耳管狭窄症」「耳管開放症」が疑われます。
特に「難聴・耳閉感・原因不明の耳痛・めまい・自分の声が不快に聞こえる・ 周囲の音が不快に響く・
拍動性の耳鳴・水の中に入った感じ・息苦しい」 など多彩な症状がある場合、耳管開放症が疑われます。

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耳管開放症

耳管とは、鼻の後ろ、下はのどにつながる部分から、鼓膜の奥の空洞(中耳)に連なる管状の器官です。健全な人では、耳管はしっかり閉じていて、時々無意識に嚥下して中耳の中の圧力が常に一定に保たれています。ところが、耳管が解放していると、体の一部がその一体感から抜け落ちてしまい、様々な違和感を生じてしまうのです。

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耳管狭窄症

耳の詰まった感じ、高い山に登った時の感じなどの症状が出ます。鼻腔から、咽頭に連なる耳管の粘膜の腫脹により、耳管が狭窄します。結果として、鼓膜の後ろの空間である鼓室腔が陰圧となり、鼓膜の動きが制限されてしまいます。アレルギー性鼻炎や感冒が原因のほとんどです。

◆治療法

原因となる、アレルギー性鼻炎や急性副鼻腔炎、感冒の治療が中心となります。耳管通気といって、鼻から耳管へ空気を送って治療する場合も多いです。

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