耳管開放症

~こんな症状でお困りではありませんか~

耳管開放症の主な症状

耳管開放症の症状は横になったり、前向きにかがんだりすると症状が一時的に軽くなったり消えたりします。
その理由は、横になると耳管の周囲の血流によって、耳管が圧迫され閉じやすくなるからです。
姿勢によって症状が変化することが、診断の上でとても参考になります。
実際、突発性難聴のような他の病気では、症状は変化しにくいのが通常です。

01

耳がふさがった感じがする(耳閉感)

この症状は、人によって様々な表現で自覚されます。“水の中に入っている感じ”という方も多いです。この症状を、“耳鳴り”と訴える方もいます。

02

自分の声が響いて聞こえる(専門的には自声強聴)・自分の呼吸音が聞こえる

これらの仕組みは単純です。通常は閉鎖しているべき耳管は、余計な音が鼻やのどから逆流しない、逆流防止の弁としても機能しています。これが緩むと、余計な音の侵入を招いてしまいます。

03

その他

当院の患者さんに聞き取りを行ったところ、下記のような症状がありました。

  • 耳閉感(耳が詰まった感じがする)…88パーセント
  • 自声強調(自分の声が大きく響く)…75パーセント
  • 耳鳴り…74パーセント
  • 難聴(聞こえにくい)…59パーセント
  • 自分が呼吸する声が大きく響く…46パーセント
  • 周りの音が響いて聞こえる…37パーセント
  • 鼓膜が動いているように感じる…37パーセント
  • 耳鳴りが脈に合わせて変化する…36パーセント
  • ふらふらする・めまいがする…35パーセント

当院の治療方針

「いつごろから、症状が出始めましたか?」
当院はこの問いかけを大切にしています

「症状が初めて現れたのはいつですか?その頃、生活に何か変化がありましたか?実は、この質問がこの病気の改善に非常に重要です。しかしながら、医師からはあまり尋ねられることがありません。耳管開放症は、通常、さまざまなストレス要因が結びついて発症することがよくあります。言い換えれば、何か原因があることが多いです。したがって、原因を明らかにすることは、病気の回復に向けた重要な一歩です。」

当院では、患者様との協力のもと、症状の原因を徹底的に探求するチームアプローチを取っています。まるで探偵のように、なぜある時期から症状が現れるのか、特定の状況で悪化するのかを調査し、その背後にある要因を明らかにします。初診時には、過去の診療歴、治療経過、症状の変遷、生活状況、成育歴などを詳細に調査し、ストレスとの関連性を特定するために努力しています。

ただし、ストレスと症状の関係は常に明確でない場合もあります。一部の患者様は、自身の症状とストレスの関連性を自覚しており、ストレスの影響を受けていることが分かりやすい場合もあります。一方で、ストレスとの関連が不明確な場合や、患者自身が気づいていない場合もあります。そのため、根本的な原因を検討する際には、時間をかけて詳細に検討する必要があります。。

ストレスによって引き起こされるケースも多いですが、耳管開放症はストレスによってのみ引き起こされるわけではありません。体重の急激な減少、ダイエット、外科手術、疾患などが原因となることもあります。妊娠中や授乳中にも症状が現れることがあり、遺伝的な要因も関与する可能性が考えられます。最近では、新型コロナ感染後にコロナ後遺症として耳管開放症の症状が報告されています。

当院で行う主な治療

診療による病気への理解向上とレジリエンスの向上

当院では、耳管開放症の症状の軽減に留まらず、根本的な意味での治癒を目指します。今日、耳管開放症の治療の主体は、すでに紹介したようなアプローチです。実際、耳管ピン挿入手術(保険適応)により多くの患者さんが、症状の軽減という大きな恩恵にあずかっています。とはいえ、耳鼻科のストレス疾患に対して心身医学的アプローチで治療に取り組んでいる立場からは、別な視点も重要だと考えています。耳管開放症の中に多くのストレスを抱えて人生に行き詰っている患者さんが、大変多くみられるからです。症状が出る真の原因を、「火災」に例えてみます。耳管ピン手術は、ある意味では、「火災報知機のスイッチを切る」ことに、例えられるかもしれません。うるさいブザーの爆音からは、解放されるでしょう。でも、原因となる「火災」は、消化されていません。当院では、心身のアンバランス、レジリエンス(ストレスを乗り越える持久力)、生まれ持った体質の弱さ、自律神経のアンバランス、運動不足、栄養不足といった多様な原因が積み重ねって、耳管開放症が発症する事実に注目します。火災を消化するように、当面の症状を解決すること。さらに、心身のモデルチェンジに取り組むことで、また再びストレス職場に復帰しても、同じ症状で悩まないで済むところまで、ともに歩んでいきます。

服薬

お薬を希望される場合、体質に応じた漢方を処方します。軽症の場合、これのみで改善することもあります。
漢方薬(当院では体質を考慮し、腹診といって腹部の所見も参考にさせて頂く場合もあります。)
比較的 体力のない方には、補中益気湯や加味帰脾湯
体力中等度の女性には、桂枝加竜骨牡蠣湯
男性には、柴胡加竜骨牡蛎湯
ご希望の方には、アデホスコーワ顆粒(血流・代謝改善剤)、メチコバール(ビタミン剤)など処方します。

当院で行う主な検査

標準純音聴力検査 聴力を調べる検査
耳管機能検査 耳と鼻をつなぐ管(耳管)の動きを調べる検査
ティンパノメトリー 鼓膜の動きを調べる検査
自律神経機能検査 2分30秒にわたり指から脈を測定します。その結果を分析することで、自律神経の活動状況、肉体的疲労度、血流の良し悪し、血管の弾性度などがわかります。
心理検査
  • SDS(うつの傾向を評価)とSTAI(不安の程度を評価)
  • 症状のチェックリスト(そのような症状があるか、ないかの確認)
  • 症状の苦痛度(どのくらい辛いのか)
  • 睡眠習慣の評価(ちゃんと眠れる習慣を実践しているか)
その他
  • 耳鳴りのある場合は耳鳴検査で調べます。
  • 貧血など疑われる場合は、血液検査で血清鉄やフェリチン(貯蔵されている鉄)などを調べます。
  • 過去の検診時の検査結果の見直し。ほとんどの血液検査の結果は、高値の時にのみ異常と判断されます。ただ、別の考え方では、AST、ALT、γ-GTP、ステロール値、BUN、などが低すぎる場合、たんぱく質やビタミンの不足が疑われるといいます。

一般的な治療の紹介

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生活指導

痩せの改善・予防、水分補給、スカーフ療法(スカーフを首に巻く)などがあります。激しい運動をした後の他、気温が低くなった時 、乾燥して いる時など には症状が増悪することが多い ようです。運動 後 には適切な水分補給、マ スクをして 保温 ・保湿に務めることも効果がある場合があります。頸部圧迫(男性ならネクタイ、女性ならスカーフやハイネックのセーターなど)により耳管周囲にむくみを生じさせると 症状が軽減します。ただし、強く締めすぎると 気を失うこともありますので少々注意が必要です。
△注意△
鼻をすすると症状が改善することがありますが、後に真珠腫性中耳炎や癒着性中耳炎等といった手術が必要な 中耳炎に移行することがありますので、鼻すすりはやめましょう。

02

点鼻療法

症状のある側の島から生理食塩水を垂らします。心不全や腎不全で塩分制限がある場合を除き、副作用はほとんどないので手軽に行える治療法です。

03

漢方療法

補中益気湯、加味帰脾湯などを1日3回食前に内服します。比較的軽症な方に有効で ある場合が多い です。

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耳管処置(ほりクリニックでは、実施していません。)

鼻から金属の管を通し、空気や薬液、医療用ゼリーなどを耳管に直接注入します。薬液や医療用ゼリーの注 入は診断のために行うこともあります。効果は人それぞれですが、1日~10日の効果が持続することがあります。

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耳管ピン挿入術(ほりクリニックでは、実施していません。)

上記の保存的治療療法を行っても症状が改善せず、かつ診断時に明らかな 耳管開放所見が見られる場合に選択します。改善率は約80% です。鼓膜に局所麻酔液を浸透させ 、鼓膜切開し、シリコン製のビンを耳管 に直 接挿入します。問題点は、ビンの脱落やそれに伴う再手術の可能性(約10%)、滲出性 中耳炎の発症 (約15%)、鼓膜穿孔の危険性 (約20%)、耳鳴り(数%)などがあります。そのため 、手術 によるメリット とデメリットをよく外来で相談した上での治療となります。また、ピンの挿入ができずに手術を中止することもあります(数%)。
日本大学医学部附属板橋病院 耳鼻咽喉科 耳管開放症 配布資料より転載

お知らせ

耳管とは

耳管とは

耳管とは、図に示すように鼻の後ろ、下はのどにつながる部分から、鼓膜の奥の空洞(中耳)に連なる管状の器官です。健全な人では、耳管はしっかり閉じていて、時々無意識に嚥下して中耳の中(鼓膜の奥の空間・中耳腔)の圧力が常に一定に保たれています。外部から音が入ってくると鼓膜が振動し、その振動が耳小骨という骨に伝わり、さらにカタツムリ状の蝸牛へと進み、この中で液体の振動になって、音として仕分けされ、神経を介して脳へと伝達され、音が認知されます。

耳管開放症を引き起こす原因

耳管が正常な人では、中耳の中の圧(中耳圧)は、一定です。そのおかげで、鼓膜から耳小骨への伝達が適切に調整されます。大きな音が入ってきたときには、鼓膜と耳小骨とそれに連なる筋肉群が伝達を制限して、蝸牛に強すぎる振動が伝わらないように作用します。

一方、小さすぎる音に対しては、振動を増幅して、蝸牛へしっかり音が伝わるように調整します。中耳の内圧が一定の時には、この空間は体の一部となって自覚されることはありません。ところが、耳管が開放していると、耳や耳管に関連する違和感を生じてしまうのです。同様の仕組みで、耳管のゆるみに伴って次のような症状も自覚することがあります。

カウンセリング、鍼灸など

カウンセリング・心理療法(自費)

経験の深いカウンセラーの指導のもとで個別化した指導で効率よく学習を進めること。現在のストレス対応は、それまでの生育過程で、誤って身につけてしまったストレス対応癖のなれの果ての必然の結果という側面もあります。こうした視点からは、病気は、偶然の出来事ではありません。病むに至った過程を振り返って、新たな自分を発見し、育てることは、人生の重要な体験の一つです。

鍼灸治療(自費)

首や肩の緊張が強い・耳の痛みが辛いなどの症状を軽減したい人に有効例が多いです。

よくあるご質問

Q

この病気は治るのでしょうか?

A

実際、他の耳鼻科で“この病気は、治りません”そう言われたと言って来院される方も少なくありません。実際専門家でも、手術的な方法(耳管ピン挿入手術)のみが有効だと信じ込んでいる現状があります。当院では、今日まで多くの患者さんを診断し、実際に改善しています。実は、私自身も耳管の開放を経験しています。実は、多くの方が無意識のうちに、耳管の解放した経験を持っています。ただ、耳鼻科医も含めてほとんどこの事実に気づいていません。疲労時、睡眠不足時など…例えば、海外旅行の帰国時など、いわゆる時差ボケの時にも、体験されているのです。耳管開放症として自覚されているのは、このような生理的な耳管開放症状の一部だと考えられます。

Q

先生が治してくれるのでしょうか?

A

医師の使命は、病気を治すことです。ただし、その役割は時と場合により異なります。医師の役割は大きく二つに分かれます。一つには、おぼれる人を救う治療、もう一つは、おぼれないように泳ぎ方を教える治療です。耳管開放症でも、しっかり救助すべき方がいます。この病気は、心身症すなわち、心と体のアンバランスが原因で発症することが多いです。これが行き過ぎると、神経が消耗して、うつの傾向が強まることもあります。

こうした方は、心療内科や精神科との協力のもとでの治療が必要です。精神的に落ち着きを取り戻してから、この病気の治療を開始すべき場合もあります。また、早急に改善したい方には、手術(耳管ピン挿入)を紹介する場合もあります。でも多くの患者さんは、病気をきっかけに、“ストレスとの付き合い方の学び直し”が必要で有効です。この場合、主役は患者さんご自身です。私たち治療家は、アドバイザーであり、道先案内人です。当院では、患者さん一人一人の、それぞれのユニークな回復の歩みを全力で応援します。

Q

治るのにどのくらい時間がかかりますか?

A

そう聞かれることもあります。これはそれまでの経過や、ご自身との取り組み方次第と考えています。

症状を軽くするライフスタイル

耳管開放症の症状を軽くするには、「それは悪化要因を減らし、改善要因を増やす」ことです。では、どうしたらよいのでしょうか?
詳しくお話します。

01

瞑想・リラクセーション

リラクセーション訓練(緊張体質から脱却し、効率よい心身へと進化する)、マインドフルネス瞑想、自律訓練法、漸進的弛緩法なども効果的です。

02

運動

日中の適度の運動習慣は、新陳代謝を改善し、深い睡眠に必要な筋肉から分泌される多くの神経伝達物質を準備することにもなります。ただし、耳管開放症では、過度の負担のかかる運動は、かえって症状を悪化させます。実際、免疫系も過度の運動によって低下することも知られています。

03

心身リラクセーション

ストレッチ、ヨーガや気功のようなゆったりと筋肉をリラックスさせる運動は、副交感神経を活性化させます。

04

呼吸法

呼吸法は、自律神経を活性化し、心身の安定化に有効です。

05

食事改善

消化機能の充実、内容の改善、良質の脂質(オメガスリーの多い、アマニオイルなど)・十分な植物性たんぱく質の摂取が重要です。患者さんの8割は、やせ型の女性です。この場合、消化機能の衰えが潜在している場合も多いです。また、鉄欠乏貧血の方もいらっしゃいます。タンパク質、ビタミンB群、鉄などに十分配慮が必要です。

また、食品添加物を減らす、精製食品(白砂糖、精製塩)を減らして黒砂糖や天然塩にかえる、調理法の改善(特に揚げる、炒めるといった調理法を減らす)、糖化させない調理法を増やすなど、質の改善も重要です。

06

栄養補助

潜在的貧血(血清鉄やヘモグロビンだけではなく、血液中のフェリチンの測定は必須)、潜在的ビタミン欠乏など個別化した補完療法も大切です。

07

嗜好品の卒業

過度の飲酒や喫煙習慣は動脈硬化を促進し、細胞を窒息させます。

08

入浴

睡眠前の1.5時間から2時間以前に上がるか、朝入浴にしましょう。

09

睡眠

この病気に効果がある(特にやせ型、冷え症傾向の女性)加味帰脾湯は、もともと更年期の睡眠障害に効果のある漢方薬です。耳管開放症の方は、何より深い睡眠をとれるように、日中のライフスタイルに十分な配慮がいります。十分な睡眠は、日中の生活習慣によって実現できます。現代人の最も大きな問題点は、脳神経ばかりに負担をかけすぎることです。日々の運動習慣や、適切なストレス解消、リラクセーションがとても大切です。

10

テレビ・携帯・パソコン

視聴時間を制限し、脳神経活動の過剰な興奮、刺激過剰を卒業する。寝る前の1~2時間が重要です。特に、やせ型の患者さんでは、日々神経の消耗傾向があります。可能な限り視聴時間を減らしましょう。

◆推薦図書

  • 最高の休息法 CDブック 久賀谷亮著(ダイヤモンド社)
  • 部屋で自律神経を整える 小林弘幸(興陽館)
  • ヨーガ的生き方で すべてが自由になる! 成瀬雅春(BABジャパン)
  • 都市とめい想 日常こそが最高の瞑想空間 成瀬雅春(BABジャパン)
  • 呼吸法の極意 ゆっくり吐くこと 新装改訂版 成瀬雅春(BABジャパン)
  • マンガでやさしくわかるレジリエンス 久世浩司著(日本能率協会マネジメントセンター)

◆マインドフルネス参考サイト

聴力検査の正しい見方

ご希望の方は、聴力検査の結果のコピーをもらいましょう。

なぜ、耳鼻咽喉科専門医でも正確な診断がなされないか?

聴力検査結果で「異常なし」

図は、二つの純音聴力検査の結果です。〇は右耳、×は左耳。左方向が低音、右方向が高音。下に行くほど難聴の程度が強い。〇と×は、気導と言って、耳に当てたヘッドホンから行う検査。[ 鍵カッコは、骨導と言って、耳介の後部に当てた端子から内耳(蝸牛)へ直接音を送り、音を識別する能力そのものを評価します。[ (鍵カッコ)は、カッコの開いている方向により、右が開く[ が右耳で、左が開く は左耳を示します。

こちらは異常がない聴力検査の結果です。

耳管開放症の患者さんが、耳鼻科を受診して、「聴力検査では異常なし」と告げられることが大変多いです。これは、いわゆる、耳閉感、耳の圧迫感、自分の声が響いて不快などの症状で、耳管が解放していても、必ずしも純音聴力検査という一般的な聴力検査では異常が出ないことが多いからです。図に、正常な聴力検査の結果を示します。

また、耳管機能検査についても、この検査で異常があるなしと、耳管開放症の有無とは区別させる必要があります。耳管開放症の症状は、日内変動が著しいいからです。ほんの数分の耳管機能検査の結果で、正確な診断を得るのは難しいのです。

耳管開放症以外の診断をされる

聴力検査の結果

図は、二つの純音聴力検査の結果です。〇は右耳、×は左耳。左方向が低音、右方向が高音。下に行くほど難聴の程度が強い。〇と×は、気導と言って、耳に当てたヘッドホンから行う検査。[ 鍵カッコは、骨導と言って、耳介の後部に当てた端子から内耳(蝸牛)へ直接音を送り、音を識別する能力そのものを評価します。[ (鍵カッコ)は、カッコの開いている方向により、右が開く[ が右耳で、左が開く は左耳を示します。

上左の結果では、右耳の低音部で、[ 鍵カッコ(右が開いている)と、〇の間にギャップがあります。
専門的には、エアボンギャップ(気骨導差)と言います。耳鼻科医が、素直に診断すれば、この結果から、伝音性難聴と言って、内耳の蝸牛の障害(音を感じ取るセンサーの障害)ではなく、音を伝達する器官の障害と推察されます。実は、ここに、耳鼻科医が、陥りやすい落とし穴があるのです。当院に来院される耳管開放症の患者さんの多くが、前医で突発性難聴、低音障害型感音性難聴、メニエール病などという診断(感音性難聴)を受け、時にステロイド剤や、イソバイドというメニエール病の治療薬(あまりおいしくない)を処方された経験があります。耳鼻科医が、ここに示した聴力検査結果を、素直に受け取らないことが多いのです。先程提示した3つの病気では、本来、ここで示した上左のような検査結果になるはずです。すなわち、音を感じる機能そのものの障害のために、右耳の丸の結果と、右が開いた鍵カッコが、同程度に低下するはずなのです。
ですから、〇印と、右に開いた[ (鍵カッコ)が一致します。自覚症状をしっかり確認すれば、このような誤解は生じません。また、さらに残念なことに、例え耳管開放症に伴う伝音性難聴と診断できても、耳管開放症という病名そのものが考慮されないことも多いです。

なぜ耳管開放症が、耳鼻科専門医に治せないか?

耳鼻咽喉科医に限らず、現代の医師の多くが、心と体の密接な関連にあまり興味がないか、基本的知識が欠落しています。多くの大学病院の耳鼻咽喉科でも、なかなか、こうした視点が重視されません。では、精神科や心療内科はどうか?現在、その診療の中心は、薬物療法です。
しかし、投薬によって、心身の深層のメカニズムを回復することにはなりません。もちろん、私も、危険なうつ状態の患者さんの場合は、紹介させて頂く場合もあります。しかし、本人の治る力を十分大切にする診療を実践している医師が少ないのが現状です。

耳鼻科医の診断能力の向上と心と体の関係についての理解の深化が求められています。

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