『グーチョキパー』 第7弾
グーチョキパー⑦
頭が疲れたら、まず歩いてみよう
― 現代人に「速歩」をおすすめする理由 ―
前回の「グーチョキパー⑥」では、現代人の生活を三分節という視点から眺めました。
スマートフォン、SNS、メール、パソコン。私たちは一日中、膨大な情報を受け取り、考え、判断しています。
つまり現代は、「頭を使うこと」が非常に多い時代です。
その一方で、
身体を動かすことは減り、
呼吸や生活のリズムも乱れやすくなった。
そこで今回は、とてもシンプルな提案です。
歩きましょう。
しかも、ただ歩数を増やすだけではなく、**「歩くことそのものを意識する」**歩き方です。
ほりクリニックでは、その一つとして以前から**「速歩」**を紹介しています。
「頭が疲れたから、頭を休ませよう」は意外に難しい
仕事で一日中考えて、
「今日は頭が疲れたな」
と思って帰宅する。
そこでスマートフォンを開き、SNSを見る。動画を見る。ニュースを見る。
本人は休んでいるつもりでも、眼からは次々と新しい情報が入ってきます。
頭は仕事をやめても、「受け取る」活動を続けているわけです。
三分節という見方では、頭部を中心とする神経感覚系には、周囲から情報を受け取り、集約する方向があります。
これに対して四肢は、
自分から外の世界へ働きかける方向
を持っています。
資料でも、頭部を「周囲→中心」、四肢を「中心→周囲」という対極として捉えています。
ここに「歩くこと」の面白さがあります。
頭を使いすぎたとき、
さらに頭を使って「頭を休ませよう」とするのではなく、身体の反対側を使ってみる。
その一番簡単な方法が、歩くことなのです。
歩くと、身体の「パー」が始まる
グーチョキパーで考えてみましょう。
情報を集め、集中して考える活動を「グー」✊とするなら、
歩くことは身体全体を使った「パー」🖐️の方向です。
一歩踏み出す。
もう一歩踏み出す。
脚が身体を前へ運び、腕が動き、視線が遠くへ向かいます。
身体の中心に留まっていた私たちが、四肢を通して外の空間へ出ていく。
ただし、ここで重要なのは、
「とにかく激しく運動すればよい」
という話ではありません。
ほりクリニックで紹介している「速歩」には、少し違った特徴があります。
速歩は「頑張って速く歩く」ことではありません
今回の資料では、一般的な有酸素運動と、ヨーガ、太極拳、気功、呼吸法などのマインド・ボディ・エクササイズを対比しています。
前者は歩数や回数といった**「量」**を増やす方向。
後者では、自分の身体を繊細に観察し、緊張と弛緩を調節する**「質」**が重視されます。
ほりクリニックで紹介している速歩は、この二つの特徴を併せ持つ運動として考えています。
ただ急いで歩くのではありません。
資料で紹介している基本は、
① 上半身の力を抜く
② 遠くの一点を見据える
③ 重心を低くする
という三つです。
ここが普通のウォーキングとは少し違います。
① 上半身の力を抜く
速く歩こうとすると、普通は身体に力が入ります。
肩に力が入り、腕を強く振り、全身を緊張させて歩いてしまいます。
しかし速歩では、むしろ上半身の力を抜きます。
下半身はしっかり働く。
しかし肩や腕は柔らかくしておく。
資料ではこれを、
上半身:脱力
下半身:緊張
という上下のバランスとして説明しています。これによって腕の余計な緊張を減らし、呼吸運動も妨げにくくすることを目指します。
これは三分節の視点から見ても興味深いところです。
身体を使う。
しかし緊張しっぱなしにはならない。
活動の中に、すでに弛緩が入っている。
② 遠くの一点を見る
次に、歩きながら遠くの一点を見ます。
ぼんやり景色を見るのではなく、
「あそこ」
と一点を定める。
そして歩いて近づいたら、また次の一点を見つける。
資料では、これを「見据えることの繰り返し」として、視覚や集中をコントロールする練習と位置づけています。
ここでは面白いことが起こります。
身体は前へ進んでいる。
しかし視線は一点に落ち着いている。
動いているのに、静かな中心がある。
身体の「パー」の中に、頭部の「グー」が残っている、と表現してもよいでしょう。
③ 重心を少し低くする
そして三つ目が、重心です。
腰を落とすというより、重心を少し低く保ちながら前へ進むことを意識します。
資料では、歩幅を広げ、前方への動きをまとめながら安定性を高める方法として説明しています。
身体は前へ進む。
しかし、ただ勢いに任せて飛び出していくのではありません。
広がりながら、中心を失わない。
これも速歩の大切なところです。
ここで「チョキ」が出てくる
すると速歩は、単純な「パー」ではないことが分かります。
🖐️ 四肢を使って前へ進む。
しかし同時に、
✊ 視線を一点へ集める。
そして、
✌️ 呼吸や身体感覚を保ちながら、その二つを結ぶ。
集約と拡張を同時に行っているのです。
これは、これまでお話ししてきた三分節の考え方によく似ています。
健康とは、グーをやめてパーになればよいのではありません。
考えすぎているから、何も考えなくなればよいわけでもありません。
大切なのは、
集まることと広がることを、もう一度つなぎ直すこと。
速歩では、それを頭で理解する必要はありません。
歩けば身体がやってくれます。
「運動しなければ」と思わなくてもいい
運動不足を指摘されると、
「毎日1万歩歩かなければ」
「ジムへ行かなければ」
「筋トレをしなければ」
と、新しいノルマを作ってしまうことがあります。
すると健康づくりまで、また「頑張ること」になってしまいます。
速歩で大切なのは、歩数だけではありません。
今日の肩には力が入っていないか。
視線はどこを見ているか。
呼吸はどうなっているか。
足は地面にどう触れているか。
歩きながら、自分の身体を感じる。
すると通勤や買い物の10分も、単なる移動時間ではなくなります。
資料でも、この速歩は有酸素運動としての側面と、身体を繊細に観察・コントロールするマインド・ボディ的側面の両方を持つものとして紹介しています。
現代人には「身体へ戻る時間」が必要なのかもしれません
前回、「時代病」という考え方を紹介しました。
情報が多すぎる。
頭を使いすぎる。
身体を使わない。
生活のリズムが乱れる。
これを解決するために、また新しい健康情報をたくさん覚える必要はないのかもしれません。
まず外へ出る。
遠くを見る。
肩の力を抜く。
そして歩く。
✊ 集まる身体から、
✌️ 呼吸とリズムを取り戻し、
🖐️ 再び世界へ広がっていく身体へ。
歩くことは、とても原始的で、とても単純です。
だからこそ、頭に偏りやすい現代生活を身体全体へ戻していく方法として、今あらためて見直す価値があるのではないでしょうか。
ほりクリニックの「健康情報」では、**「速歩のススメ―歩くことを意識する健康法」**として、具体的な歩き方をご紹介しています。資料のまとめでも、速歩の三原則を「上半身の力を抜く・一点を見据える・重心を低くする」としています。
まずは10分。
スマートフォンをポケットに入れて、少し遠くを見ながら歩いてみてください。
頭を休ませるために、
身体を動かしてみる。
これも、現代人の健康法の一つです。





